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中西 利典*; 小松 哲也; 小形 学; 川村 淳; 安江 健一*
月刊地球「基礎データから考える第四紀学の新展開-I」号外No.71, p.148 - 155, 2022/02
熊野川中流部の穿入蛇行跡において採取したボーリングコア試料を観察・解析して同段丘地形の形成過程を検討した。古い段丘地形ほど現在の河床面よりも高い位置に分布すると想定したが、環流旧河谷の地下には支流成の土石流堆積物が厚く分布する場合があるため、同地表面を隆起・侵食の指標とする際には注意が必要である。
島田 耕史; 末岡 茂
フィッション・トラックニュースレター, (33), p.19 - 21, 2020/10
もんじゅ敷地内の花崗岩から分離したアパタイト粒子と、新たに作成した標準試料(Durango産アパタイト)のフィッション・トラック(FT)密度を、FT研究の初心者である筆頭著者がFT自動計測装置で計測した結果および作業時間を報告する。本自動計測装置は本邦初の導入であり、測定作業時間は大幅に低減した。また得られたFT密度は共著者による既往報告と調和的であり、熟練者の専門的経験に基づく適切な指導があれば、初心者でも熟練者と遜色のないデータを短時間で得られる可能性が示唆された。
國分 陽子
ISEE Newsletter, 9, P. 4, 2020/01
日本原子力研究開発機構東濃地科学センター土岐地球年代学研究所では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、地質環境の長期安定性に関する研究として地震や火山,隆起侵食,海水準変動等の自然現象の研究を行っている。この研究では、これら様々な自然現象について数万年から数百万年の評価が求められていることから、当研究所では、様々な自然現象の幅広い年代範囲を網羅するように、複数の年代測定技術の開発に取り組んでいる。これらの技術開発については、名古屋大学宇宙地球環境研究所との研究協力協定のもと、両者が有する加速器質量分析装置や電子プローブマイクロアナライザーに関する情報交換や技術供与を行うとともに、地球科学分野における共同研究も行っている。
横山 立憲
Isotope News, (764), p.11 - 14, 2019/08
原子核崩壊による核種変化、または放射線による損傷を利用して岩石や化石試料の形成年代を測定する放射年代測定は、地球惑星科学の分野において、過去の自然事象を解明する際に広く用いられる。岩石・鉱物試料の中でも、炭酸塩鉱物の年代測定技術の開発は、近年急速に進みつつある。炭酸塩の年代測定は、例えば鍾乳石や蒸発岩及び鉱石の形成年代を知るために実施されてきたが、岩石の割れ目を充填するように存在する炭酸塩は、過去の地下水から沈殿して生成され、その年代情報は地下水流動経路の変遷の解読に繋がり、過去の断層運動の解明などにも大きく寄与すると期待される。炭酸塩が地下環境において、地下水から段階的に成長した場合、その内部には微細な累帯構造が形成されることがある。また、炭酸塩の起源となる水の微量元素組成が変化した場合、累帯間で微量元素組成に違いが生じうる。このような試料について分析を実施する場合に有効な局所分析手法の一つとして、レーザーアブレーション装置と誘導結合プラズマ質量分析装置を組み合わせたLA-ICP質量分析法がある。本稿では、LA-ICP質量分析法を用いた炭酸塩鉱物の年代測定技術の開発について紹介する。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; Solomon, D. K.*; 宮川 和也; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 松本 拓也*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 小野 昌彦*; et al.
Applied Geochemistry, 104, p.60 - 70, 2019/05
被引用回数:8 パーセンタイル:46.78(Geochemistry & Geophysics)地下水に溶存している希ガス(He, Ne, Ar, Kr, Xe)は、地下水の起源や滞留時間、涵養温度などの推定に使われる。地下水に溶存しているガスを全て定量することが望ましいが、一方で、地下水の採取に伴う溶存ガスの脱ガスを避けることは難しい。本研究は、地下水の採取に伴う溶存希ガスの脱ガス挙動について調べ、その補正方法を提案するものである。地下施設及び深層ボーリングから地下水試料を採取し、原位置の圧力を維持した状態で採取した試料と、圧力を低下させて脱ガスさせた試料との比較を行った。その結果、溶存ガス圧が低い試料(約4.6気圧以下)については、大気圧下で脱ガスさせた場合、気液平衡が成り立つことが分かった。一方で、溶存ガス圧が高い試料(約32気圧)については、気液平衡が成り立たないことが分かった。気液平衡が成り立つ試料については、脱ガスの影響を補正することが可能であるが、気液平衡が成り立たない試料については、補正が困難であり、さらなる検討が必要である。
石丸 恒存
JAEA-Conf 2018-013, p.13 - 16, 2019/02
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターの保有する加速器質量分析装置、JAEA-AMS-TONOが平成29年で20年目を迎えるため、本発表ではこれまでの歩みと現況を紹介する。平成9年3月の導入後、まず炭素-14測定の整備を進め、平成25年度にベリリウム-10測定、平成27年度にはアルミニウム-26測定が可能となっている。また、これらは機構内で利用するだけでなく、原子力機構の「施設供用制度」により、外部からの測定依頼の受け入れも行っている。現在は、さらに測定核種を増やすべく、塩素-36,ヨウ素-129の測定に向けた整備・検討を進めている。これまで装置が稼働できない時期があるなど幾つかの曲折はあったものの、着実に実績を積み重ねることができている。
大久保 綾子; 篠原 伸夫; 間柄 正明
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 314(1), p.231 - 234, 2017/10
被引用回数:2 パーセンタイル:19.37(Chemistry, Analytical)核鑑識のために新規に開発したウラン年代測定法を用いて、二つの濃縮ウラン試料の製造日を決定した。本法による年代測定では、スパイク溶液を添加する必要がなく、Th/Uは、試料中のTh/Th、U/Uおよび放射平衡時のTh/U比(計算値)より計算される。本法で求めたウラン試料の製造日は、低濃縮ウラン試料については、実際の製造日と誤差の範囲で一致したが、高濃縮ウラン試料については、実際の製造日よりもわずかに新しい製造日が得られた。高濃縮ウラン試料の年代測定については、表面電離型質量分析において、UからThへの干渉が結果に影響していることが考えられた。
永田 和宏*; 松原 章浩*; 國分 陽子; 中村 俊夫*
鉄と鋼, 102(12), p.736 - 741, 2016/12
被引用回数:2 パーセンタイル:12.16(Metallurgy & Metallurgical Engineering)本研究では、鋼で作られた4種類の日本刀に含まれる炭素の同位体である放射性同位体Cと安定同位体のCとCを加速器質量分析計により定量した。そして、Cの放射性壊変による濃度減少を利用した放射性炭素年代法によりC年代を求め、さらに暦年較正により暦年代を決定した。また、この暦年代と茎に刻印された作者の活動時期とを比較し、刀の製作年代を検証した。放射性炭素年代より求めた暦年代と、作者名や作者が活動した年代に木炭の樹齢を考慮すると、最も古くかつ確率密度の高い年代が刀の制作年代に対応することが分かった。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 後藤 和幸*; 柏谷 公希*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 國丸 貴紀*; 武田 匡樹
Geochimica et Cosmochimica Acta, 192, p.166 - 185, 2016/11
被引用回数:10 パーセンタイル:38.39(Geochemistry & Geophysics)岐阜県東濃地域に分布する花崗岩中の地下水について、He法およびC法を利用した年代測定を行った。6本の深度1000m級のボーリング孔を利用して合計30区間から地下水試料を採取した。地下水の流動経路に沿って、He濃度は増加し、C濃度は減少する傾向があり、両者から推定される年代値には線形相関が認められた。このような複数の指標を利用して年代測定を行うことにより、信頼性の高い年代値が取得できると考えられる。
Gaffney, A.*; Hubert, A.*; Kinman, W. S.*; 間柄 正明; 大久保 綾子; Pointurier, F.*; Schorzman, K. C.*; Steiner, R. E.*; Williams, R. W.*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 307(3), p.2055 - 2060, 2016/03
被引用回数:22 パーセンタイル:89.61(Chemistry, Analytical)核鑑識のためのウラン年代測定法について、4つの研究機関(ローレンスリバモア国立研究所, ロスアラモス国立研究所, フランス 原子力・代替エネルギー庁, 日本原子力研究開発機構)による共同試料分析を実施した。分析試料としては、ウラン同位体比標準物質であるNBL U050が選定され、同位体希釈質量分析法によって分析が行われた。各研究機関によって推定されたU050のウラン精製日は、1956年3月から1957年10月となり、この推定結果は、測定誤差に起因する精製日の誤差範囲で一致した。一方で、この推定結果は、文献で示されるU500の実際の精製日よりも古い精製日となっており、U050の製造時の精製が不十分であったことが示された。
宮本 ユタカ; 鈴木 大輔; 江坂 文孝; 間柄 正明
Analytical and Bioanalytical Chemistry, 407(23), p.7165 - 7173, 2015/09
被引用回数:8 パーセンタイル:31.16(Biochemical Research Methods)様々なU/Pu比からなるウラン-プルトニウム混合単一粒子の年代を誘導結合型質量分析法で測定した。ミクロンサイズの粒子をU, Puの標準物質から調製した。Pu標準物質は精製時期が既存で46年経過したものである。化学分離したPuとAmの3つの同位体比の積で得られるAm/Pu比からPu精製時期を得た。試料のAm, UそしてPuは一本の小さな陰イオン交換カラムで逐次分離を行った。試料溶液に高純度のAmスパイクを添加することでAm/Pu比を正確に測定できた。様々なU/Pu比を持つ粒子の精製時期の測定結果は推奨値と高い正確さおよび精度で一致した。
柴田 健二; 清水 麻由子; 鈴木 和博
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書,26, p.126 - 131, 2015/03
EPMAを使ったジルコンやゼノタイムの年代測定(CHIME年代測定)は、年代情報と組成情報を同時にもたらすことから、岩石の年代決定のほか、後背地解析における堆積物の供給源を特定するための強力なツールとなり得る。しかしながら、特性X線の相互干渉が、CHIME年代測定に必要なU, Th, Pb含有量の定量を困難にしている。従来、X線の発生源(分析点)、分光結晶、検出器を結ぶローランド円の半径(R)が140mmの分光器を使用して、高波長分解能化で干渉の影響を軽減させてきたが、近年主流となっているR=100mmの高計数率の分光器を用いて短時間で精度の高い定量を試みた。さらに、日本電子(JEOL)製の電界放出型電子線マイクロアナライザ(FE-EPMA)JXA-8530Fを使って、CHIME年代測定への最適化を検討した。なお、本研究は「地質環境長期安定性評価確証技術開発」の一環として実施したものである。
鈴木 崇史; 村松 康行*
Radioisotopes, 54, p.51 - 53, 2005/00
加速器質量分析装置(AMS)の発達により極低レベルのIが測定可能となり、さまざまな分野にAMSを利用した応用研究が行われるようになった。本論文ではAMSを利用した最新の研究をレビューした。ここでは、環境科学,トレーサー利用や年代測定のツールとしてIを利用した研究例を取り上げたが、ヨウ素は環境中でさまざまな化学形を取り複雑な挙動をすることを考えると、Iを利用した地球環境科学分野の研究はますます注目されそうである。
落合 洋治; 福島 龍朗; 沖田 正俊; 茂田 直孝; 花木 達美; 高橋 修; 中野 勝志
PNC TN7440 97-003, 255 Pages, 1997/04
本報告書は、東濃地科学センター・技術開発課が平成8年度に実施した研究開発の業務成果を取りまとめたものである。当年度は鉱床解析評価班が資源解析評価班として名称を改め技術開発課に加わり、資源情報調査・ポテンシャル解析・鉱床評価等の業務についても実施することになった。その他業務は前年度に引き続き実施した。これらのほか、平成7年12月8日のもんじゅ事故を契機として、施設の安全管理が最重要視され、東濃鉱山においては、経年変化対応として調査立坑巻揚機更新工事、総合管理棟の新築工事、沈殿池回り整備工事等を行い鉱山施設の整備を図った。
not registered
PNC TJ7454 97-002, 79 Pages, 1997/03
地下水の流れや分布などの地質環境を長期間にわたって予測するためには、隆起・沈降量を考慮した将来の地形や地質構造に関するデータが必要である。隆起・沈降量の予測には、変動が何時から開始し、どのような速度で継続しているかを解明する必要がある。本調査では、各地の隆起・沈降運動の開始時期や変動速度の開析に必要な段丘の形成年代を求めるため、段丘を覆う堆積物の年代測定を行った。今年度は、特に年代値データが不足している関東、九州、東北地方を対象に、計23試料の年代測定を行った。
米田 吉宏*; 高原 弘幸*; 中村 直昭*; 秋山 眞介*; 守屋 俊文*; 根木 健之*
PNC TJ1380 97-001, 1338 Pages, 1997/03
釜石鉱山における原位置試験の第2フェーズ(H5H9年度)では、次の5つの領域が研究対象とされている。すなわち、(1)深部地質環境特性の把握(TASK-1)、(2)深部岩盤における掘削影響領域の評価(TASK-2)、(3)結晶質岩中の水理・物質移行特性の把握(TASK-3)、(4)人工バリアに関する研究(TASK-4)、(5)地震に関する研究(TASK-5)である。本報告書は、主に(1)の深部地質環境特性の把握を目的として実施された調査・試験結果をまとめたものであり、同時にこれは他の研究のための基礎的な資料を提供するものである。本年度は大別して3つの調査項目からなり、以下のような成果を得た。(1).割れ目充填物の年代測定:割れ目充填物中の変質鉱物であるセリサイトのKーAr年代測定を実施した。その結果、同試料のフィッション・トラック年代よりも15Ma以上古い年代値が得られた。同試料では他の割れ目の影響や再動・再変質等の影響を被っていないことから、割れ目充填物は栗橋花崗閃緑岩体の冷却過程において形成され、岩体同様に徐々に冷却したものと推定された。地質構造および割れ目形成史のまとめ:現在迄に取得されている地質データを見直し、原位置試験場周辺の地質構造や割れ目特性、充填物・変質部の鉱物・地化学特性、形成史についての取りまとめを実施した。弾性波トモグラフィー:KF-1、2孔周辺における割れ目帯およびみずみちの検出を目的として弾性波トモグラフィーを適用し、解析には2種類の手法を用いた。その結果を比較検討したところ、地質観察(NW坑道周辺及びKF-l、2孔)で推定される割れ目帯、流体流動電位法(KF-1孔)においてSPのアノーマリーが検出された領域、流量検層(KF-l、2孔)で多くの湧水が確認された区間において両解析手法ともに低速度帯の存在が認められ、弾性波トモグラフィーが割れ目帯及びみずみちの検出技術として有効な手法であることが明らかとなった。(2).降水量・気温・坑道湧水量・間隙水圧の経時変化の把握:KG-1孔の間隙水圧の経時変化と降水量に関連性があることが認められた。また、KD-90坑道とNW坑道周辺における間隙水圧の観測から550mL坑道内に存在する高木圧帯の連続性が推測された。KF-1,2孔、KCH-l,2孔における水理試験:これらの試錐孔において流量検層、PNC式
not registered
PNC TJ1308 97-002, 297 Pages, 1997/02
本文献集は、報告書の巻末に示した参考文献のうち特に報告書の論旨に影響するものを収録したものである。なお、参考文献リストに記載され本文献集に収録していないものは、1989年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関するナチュラルアナログ研究(I)「(PNC SJ4308 89-001)、1990年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査(PNC SJ-4308 90-001)、1991年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査(PNC SJ-1308 92-001)、1992年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査」(PNC SJ-1308 93-001)、1993年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査研究(VII)」(PNC SJ-1308 94-001)、1994年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査研究(VIII)」(PNCSJ-1308 95-002)そし て1995年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査研究(IX)」(PNC SJ-1308 96-002)の文献集を参照されたい。
R.L.R.Chandrajith*; 上野 隆; 天野 光; 奥村 稔*
6th Int. Conf. on the conservation and Management of Lakes-Kasumigaura 95, 0, p.1048 - 1051, 1995/00
環境中の放射性核種の移行に関する研究の一環として環境中の重金属・有害元素の分布・移行を調査してきている。今回は湖底堆積物中の水銀を対象としてその鉛直分布とその年代を求めることを目的とした。日本国内の琵琶湖(滋賀県)、中海(島根県)、宍道湖(島根県)の湖底から柱状堆積物試料を採取、振動別に切断を行い分析した。これらの堆積物中の水銀の濃度を冷原子吸光法により求め、Pb、Csの放射能をGe検出器による線スペクトロメトリーにより定量を行い、堆積物の年代を決定し、各堆積物中の水銀濃度の鉛直分布及びその堆積年代を明らかにした。その結果、いずれの試料においても1950年代から1960年代に堆積した部分に水銀濃度のピークがあり、そのころ農薬として使われた水銀を含む化学薬品の使用がその原因となっている可能性が示唆された。
上野 馨*; 星 三千男
JAERI-M 93-161, 25 Pages, 1993/09
生活環境には、さまざまな放射性核種が存在する。このような放射性核種に関する授業は、原子力の置かれている状況を正しく把握するために役立つと考え、原子力総合研修センター原子炉研修部門で実施している一般過程において、生活環境の放射性核種というタイトルで講義が行われてきた。1993年、カリキュラムの改定により、この講義が発展的に解消したため、使用してきたテキストをもとに本報告が作成されたものである。内容は生活環境に見られる天然及び人工の放射性核種の由来とその濃度などである。